2010年08月19日

自分の小さな「箱」から脱出する方法


人間関係を「箱」に入っているか、いないかという二元論で捉えた、興味深い実用書です。私たちは自分でも知らず知らずのうちに、「箱」の中に入ったり出たりを繰り返しています。「箱」は、通例的な類似表現で言うと「壁」ということになるかもしれません。
人は、ある人に対しては「壁」を作り、ある人に対しては「壁」を作りません。
本書ではそうした人間関係を阻む概念として「箱」を取り上げています。
多くの場合、人は人間関係でトラブルが発生すると、相手のせいにして、自分のせいだとは考えません。また、相手の求めるものが自分の求めるものと対等の価値があるとは考えず、自分の求めるものが優先すると考える場合も多くあります。
たとえば、ATMの順番待ちでイライラしたり、昼時の定食屋で隣の席に荷物を置いてみたり・・・。でも、自分に特権があるわけではありません。
こういう正当性のない特権意識や自己欺瞞が、人間関係のトラブルを作り出す元になっています。それを本書では「箱」に入った状態と定義します。
なぜ、「箱」に入った状態だとトラブルになるのか。それは、人間は相手が自分をどう思っているかで対応を変える生き物だからです。
相手が攻撃的だと、こちらも攻撃的になります。相手が自分を避けていると、自分も相手を避けようとします。
ここでもうひとつ重要なのが、「箱」に入っているのは自分だけではなく、相手も「箱」に入っている場合があるということです。
お互いに「箱」に入ったままでは、歩み寄りなどできるわけがありません。むしろ、お互いに自分を正当化して相手を責め続ける結果になります。
相手を尊重し、一人の対等な人間として受け入れることができるようになれば「箱」から出ることができます。
これ以上の詳細は本書に譲るとして、この本は非常に優れた心理学書でもあると言えます。一人の人間の心の葛藤を通してセミナー形式で対論しながら物語は進んでいきます。
読後は、何かすっきりした気持ちと、混乱した気持ちが同居していることと思います。「箱」から出るという状況を、一冊の本を読んだだけで作りだせるほど、人間の心理は柔軟ではなく、既成の観念は強いはずです。
それでも、人間関係を円滑にしたいという意志がある人が読めば、必ず大きなヒントになる良書です。


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posted by サンタ at 00:02| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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