会社員なら誰しも、上司からの無茶な要求に「現場を知らないくせしやがって」とボヤいた経験をお持ちだろう。上層部と現場の対立をいかに克服するか――これは、組織論と呼ばれる学問分野の一大テーマである。
しかし、難しい経営学のテキストをひもとかずとも、僕らの身近には組織論を学ぶ格好の教材があった。そう、テレビでも映画でも大ヒットをかっ飛ばした「踊る大捜査線」シリーズである。このドラマが新しかったのは、その生みの親である亀山千広プロデューサーも再三コメントしているように、組織論をベースにして警察ドラマを描いたことにある。
本書は、そんな「踊る大捜査線」シリーズの名台詞や名場面を手がかりにして、組織論をレクチャーした1冊。なるほど、「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ」という青島刑事の台詞は、まさに現場主義の核心を突いているし、『踊る大捜査線 THE MOVIE2』で「レインボーブリッジを封鎖できません」と叫んだのは、縦割り官僚主義の弊害ゆえだった。
「誰のために働いてんだか…」とつぶやく恩田刑事、現場人生をまっとうした和久指導員、「しびれるような命令」を発した室井管理官など、多様なキャリア観をもつ人物が登場するのも、このシリーズの魅力。彼らの言動をケーススタディとして指南されるモチベーション論、キャリア・デザイン論、リーダー論は、平社員から中間管理職、経営者まで、いずれの立場から読んでも新しい発見があるはずだ。
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